ボーイズラブは七難隠す

 私は喋るのがあまり得意でない。これは口下手だからではない。何かやたらと舌がもつれてフニャフニャとどうしようもなく滑舌が悪いのだ。しかも早口で喋ろうとするから余計うまく喋れない。特に興奮している時。根本的な原因ははっきりしていて、舌が短いからだ。何年かこの体で生きてきた私が言うのだから間違いない。舌が頻繁にもつれても特にどうしても困ることはない。しかし「この私(わたくし)のイメージに合わないわ!」という感じは否めない。私(わたくし)が持つ数ある短所の中でも嫌いな方だ。吃音を持っているわけではないが、asa-chang&巡礼の「まほう」という曲を聴いた時目の水が出てきた。

  改善されるかと思われた時があった。中学の時演劇部に入っていて、なぜか演出の私も発声練習に付き合っていた。そしてその一環で滑舌の練習もしてたんだよ。かなり頑張って。しかし一向に改善されない。ちょっと舌を鍛えたくらいではどうしようもなかったということだ。

  しかし私のラップへの憧れはこういった短所から来ているのかもしれない。この短い舌が私をラップに出会わせてくれたのだろうか。初めて見た時、私からするとラップやラップバトルは、早口であんなに滑舌良くさらにリズムに乗って、韻を踏んでいる…!?と衝撃的なものであった。それからすっかりハマり、ご存知の通り私はバトルMCで萌えるという大変な悪癖があるし、ヒプノシスマイクのオタクになりつつある。正直良いボーイズラブさえあれば、どんなに喋るのが下手くそでも、「何喋ってるかわからん」と言われても何ほどのことでもないのだ。こうやってボーイズラブが短所を一つずつ潰していくのを何回も体験してきた。我が人生の光よ。